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2007/06/10 (Sun) 汲む

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先日紹介した詩人茨木のり子さんの、「汲む」という詩が好きです。

「汲む」       茨木のり子

大人になるというのは
すれっからしになることだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞いの美しい
発音の正確な
素敵な女のひとと会いました
そのひとはわたしの背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました

初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人と思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

私はどきんとし
そして深く悟りました
大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 酷く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子どもの悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな

年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれているのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと・・・

わたくしもかつてのあの人と同じくらいの年に
なりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです


この詩を読んだ思春期の頃、美容師さんに話しかけられただけですぐに赤くなったり、初対面の人に会うのに不必要に緊張したり、人のちょっとした言葉にすぐ傷ついたりする自分がいやでした。
でも、そんな自分を、「そのままでもいいんだな」と思え、救われたように感じた覚えがあります。
最近ではむしろ、そういう「震える弱いアンテナ」をもつような、初々しい感受性を持つ自分を、キープすることの難しさを、感じたりもします。

踊るためには・・・。
人と真心をもって接するには。
そして、日々を丁寧に生きていくためには・・・。
「初々しさ」
を、決して失ってはいけないなぁと、あらためて思います。
失えば、二度とは手に入れることのできない、心の中の大切な部分。
柔らかく、外に向かってひらかれているのこそ難しい、咲きたての薔薇のような心。
それを、大事にしていきたいなぁ・・・と、気持ちを新たにします。

「あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと・・・」
という部分、まさにその通りだと思います。

「汲む」ということ。
人の言葉を、人の心を、その言わんとすることを正しく大切に汲み取ることの難しさを思います。
静かな湖面にいきなり投げ込まれた石のような言葉。
なぜ・・・?どんな意図で・・・?何のために?
時には傷つき、怒りや苛立ちを感じたり、貝のように心を閉じてしまいたくなったりもしますが、でも、勇気を持って開いていたい。
傷つくのは、私の心がまだ柔らかい証拠。
傷つかなくなったら、その時の方が問題が大きい。


ときどき、自分が困ってしまってどうしていいのか悩むようなときに、開く本があります。
ジャン・ガロという人の書いた「愛のいのり」という本です。
まだ10代の高校生の少女だった頃に、美しいステンドグラスを見たくてなにげなく訪れたある教会の、小さな売店で売っていた本です。
それ以来、何かあると、たびたびこの本にたすけられ教えられてきました。
私の人生に、備えられていた、小さな小さな本。

「悪意が目に映るようなときでも、そこには、よい意図があったのに、じょうずに表現できなかったのだということに、思い至らせてください。」

「気むずかしく、冷たく、不快な態度を見るとき、深い望みがありながらも、内気なために、すなおで善良な態度がとれないでいるのだということを悟らせてください。」

「一切の対話が愛であるようにしてください。私が口を開くとき、相手を受け入れられるように、心をまず開いてください。」

「どんな人とも、なごやかに交われるように、私の心を開いてください。人を理解し、自分と違った考えをも受け入れられる心にしてください。」

(ジャン・ガロ著『愛のいのり』より)

・・・「汲む」ということ。
心を、汲み取る、ということ。
本当になかなか難しい、困難なことなのですが・・・・。
でも。

もっともっと大事にしていきたいなぁ、と思っています。

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(ヘルマン・ヘッセの言葉) 

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・文章を書くことも好き。

☆好きな本
・ヘッセ『デミアン』『春の嵐』
・リルケ『若き詩人への手紙』
・高村光太郎『智恵子抄』
・三浦綾子『道ありき』『氷点』『泥流地帯』『塩狩峠』
・倉田百三『出家とその弟子』
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・ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』
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などなど。

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☆好きな音楽

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