これは、花屋さんの店先で「大特価350円」。
貧弱にヨロヨロ咲いていたシクラメン。
家に連れて帰ってほぼ一ヶ月経ちましたが、元気いっぱい!
本来の華やかさを取り戻し、炎の揺らめきのように咲いています。
シクラメンのうしろに大好きなクリムトの絵を額に入れて飾っています。
花びらの先のフリルがとっても可愛い。
☆クリスマスに贈る言葉
クリスマスですね。
2007年前、遠く遠くの馬小屋で、小さな赤ちゃんが生まれた日。
大好きな作家ヘルマン・ヘッセがクリスマスカードに書いて送ったという文章を、クリスマスにみなさんに贈りたいと思います。
「所有と権力を求めるためのどんな努力も、私たちからエネルギーをうばい、私たちを貧しくするのに対して、そんなささやかな無私の献身でも、どんなかたちの思いやりでも、どんな愛でも、私たちをよりゆたかにするということは、古今を通じての人生知の不思議な、しかし簡単な秘密です。
それをインド人たちは知っていて、教えた。そしてその後、賢いギリシア人たちが、それからイエスが、そしてそれ以来なお何千人の賢人や詩人たちが教えました。
彼らと同時代の金持ちや王たちが忘れられてしまい、消え去ってしまった一方で、あの賢人や詩人たちの作品は時代を超越して生き続けているのです。
イエスであろうが、ブッダであろうが、プラトンであろうが、シラーであろうが、あるいはスピノサであろうが、君たちは誰の教えを信じても良いでしょう。
人をこの上なく幸せにするのは、権力でも、所有でも、認識でもなく、ただ愛だけだというのが、誰の教えでも究極の叡智なのです。
どんな無私の行為、つまり、愛ゆえの断念も、同情からの行為も、自己犠牲も、すべてことごとく「与える」という行為であり、一種の自己掠奪のように見えるけれど、それはより豊かになることであり、より偉大になることであり、やはり前へ、上へと通じる唯一の道です。
それはひとつの古い歌です。
私は下手な歌い手であり、説教者です。
けれど真理はすたれることなく、それが今、どこか砂漠で説教されようと、ひとつの詩にうたわれようと、新聞に印刷されようと、どんな時代にも、どんなところでも、真理として通用するのです。」
(1907年 「クリスマスに」 ヘルマン・ヘッセ)
今からちょうど百年前のクリスマスに、ヘッセはこの文章を書きました。
愛すること、愛を与えることだけが、唯一無二の道。
愛すること、それだけが、前へ、上へと進むための唯一の道。
ときどきこのことをしっかり思い出して見つめる時間が必要なほどに、人間は(私は)エゴから離れられず、愛することを困難に感じたり、おっくうがったりする生き物だなぁと感じます。
どんどん孤独になって生きるのが苦しいとき、そんな時は、人を愛せず自分自身しか愛していない時、もしくは人は愚か自分自身すら愛していないときです。
「愛する」、というのは大げさなことではなく・・・。
温かい笑顔、優しい言葉、素直に感謝する心・・・そんなささやかなものにこそ、存在しているのかもしれません。
そうは言っても私は、意地っぱりで気むずかしくてへそまがりで毒舌。他人に厳しく自分に甘い。
思い通りに清く優しくは生きられないほど弱く、愚か者だけれど・・・。
時にこうして、大事なことを思い出すのも良いかなぁと思います。
だって、クリスマスですものね!
☆けなげなシクラメン
私は、単純に、「愛情には愛情が還ってくる」、と信じているところがあります。
ダイレクトにすぐその場で与えた本人から、・・・ではなくとも、巡りめぐって・・・。
それは、こんなところからも感じます。
最近、植物を育てながら、「献身的でいじらしいなぁ・・・」と思います。
花はやっぱりとっても優しいんですよ。
安く買ってきたシクラメンふた鉢。
前回載せた白は500円、今回のピンクは350円、どちらも見捨てられかけた見切り品、サービス大特価商品でした。
花屋の店先の冷たい風の中で、細い茎をあちこちバラバラの向きににひょろひょろ倒しかけ、貧弱な花を寒そうに咲かせていました。
なんだかかわいそうになって。美しくゴージャスな花ではなく、こちらを選びました。
それでも今は、真っ直ぐな茎をみずみずしく立たせて、次から次へと美しい花を咲かせています。
連れ帰ってきて、私がしたことは、日中は日当たりのいい場所に移動させることと、様子を見て花と対話しながら適度に水をあげること、たったこれだけです。
あとは、植物そのものの持つ力、太陽の力、水の力、土の力・・・・。
でもシクラメンは、けなげに一生懸命に美しい花を咲かせて、私のしたその何倍もの喜びを返してくれる。
ありがたいなぁ、と思います。
「無私無欲に、ただ命を咲かせることの美しさ」を感じさせてくれて。
うちの犬も猫も、同じです。
手をかける何倍もの愛と喜びを、惜しげもなく返してくれる。
赤ちゃんももちろんそう。
そして、不精者の私は、人にしてあげられていることよりはるかに、色々なことをしてもらってばかり・・・。こんな私に優しくしてくれて、みんな本当にありがとう!
そんな自分を反省しつつ、優しい私になれることを願いながら、のんびりのどかなクリスマスを過ごそうと思います。
みなさんにとっても、いいクリスマスでありますように!