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2006/12/22 (Fri) 武士の一分

★ 映画 「武士の一分 (2006日本)★★★★☆
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譲らない心。譲れない愛。
人には命をかけても守らねばならない一分がある

●作品紹介
藤沢周平原作・山田洋二監督の時代劇三部作の最後を飾る作品。
三村新之丞(木村拓哉)は、最愛の妻・加世(檀れい)、父の代から仕える中間の徳平(笹野高史)と、つましく暮らす海坂(うなさか)藩の下級武士。「早めに隠居して、子供がたに剣を教えたい」と夢を語る、笑いの絶えない平和な日々は、藩主の毒見役をつとめて失明した日から暗転する。昨日まで気が進まないとこぼしていた役目すらもはたすことがかなわない。絶望し、自害しようとする新之丞を加世は必死に思い留まらせるが、愛する夫のため、口添えを得ようとして罠にはまり、番頭・島田藤弥(坂東三津五郎)に身を捧げてしまう。その行為を、夫婦の契りを絶つ裏切りと感じた新之丞は、加世に離縁を言い渡し、復讐を誓う。しかし仇敵・島田は藩内きっての剣の使い手。新之丞の無謀な果し合いに勝機はあるのか、失われた夫婦の絆と情愛は再び取り戻せるのか…!?
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●「木村拓哉」、という男
木村拓哉は、「アニムス」だ、・・・と思う。
「アニムス」とは、ユング心理学でいう、女性の夢に現れる元型としての男性像。
真実の彼がどんな方なのかもちろん私には知るよしもないけれど、多くの女性の心のなかにある理想の男性像のイメージを具現化して創られた架空の男性。
言ってしまえば、存在感が、放つオーラが、「カッコイイ」・・・。
・・・と素直に言うのは、なんだか悔しく照れくさく躊躇してしまうけれど、やはり一本筋の通った男らしさを感じさせてくれる稀有な男性だと思う。
(別にファンではないけれど、やっぱり「カッコイイ」ということは認めなくてはね。)
私にとっては・・・なぜか少しだけ、存在感が空に似ていると感じる男性。

彼は、ドラマなどで見せるいわゆるキャラクターイメージの固定された感のある「キムタク像」を、この映画では打ち破ろうとしたのではないだろうか。
この映画での木村拓哉は、目の見えなくなる下級武士の役だった。
持ち前の容姿の美しさや華やかさや男前な雰囲気は、むしろ消されていたように思う。目の下のクマ、無精ひげにみすぼらしく乱れた髪や服装。
でも、見えないはずの目に宿る、強い強い光があった。
怒り、絶望、悲しみ、孤独・・・どうにもならない運命に翻弄される人間の苦しみを、彼の目の光は雄弁に見るものに伝える。
木村拓哉の魅力は、この、「目の力の強さ」にあるのだろうと思った。
人間として決して譲ることのできない大切なもの。
命をかけても・・・命を捨ててさえも、守りたいもの。
それが、「武士の一分」。
「プライド」という言葉が一番近いだろうか。
視力を失い、仕事をするすべを失い、妻を奪われ、生きる希望さえ持てない絶望の中にある人間が、絶対に果たさなくてはならないと自分自身に誓ったことは・・・騙され陵辱された愛する妻の仇を討つことだった。
顔や言葉には出さないけれど、抑えた演技の中に、深く妻を愛する心が痛いほど伝わってきた。
「男とは、こうあるべき(人としてこのように生きるべき。このように妻を愛するべき)」ということを・・・感じさせてくれた演技だった。
山田洋二監督が、木村拓哉を選んだ理由。
それは木村拓哉が、まごうことなき「男」、女性にとっての「男」の元型(=アニムス)であるからだろう。


●女優「檀れい」さんのこと
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清楚で素朴でかわいらしい・・・と思ったら。
彼女のことはこの映画ではじめて知った。いったい、こんなにかわいらしくて、愛らしくて、けがれていない清楚な雰囲気の女優さんが、どこに隠れていたのだろうと驚いた。何とも素朴で、素直な雰囲気。失明した夫を、一途に愛するいじらしさに、とても好感が持てた。
でも、先日「オーラの泉」という番組に出演されている姿を見て、驚いた。映画と同一人物とは思えないほど、印象が違う!!
photo.jpg 
実はゴージャスで華やかで強い!
宝塚の娘役トップの出身だということで、そこで苦労された話をしていた。
くっきりしたメイクも、華やかに巻いた髪型も、身体にフィットした紫色のフリルのついたドレスも、映画の「加世」とはまるで別人だった。
女の園・宝塚の厳しい階級社会を勝ち抜いて、その頂点に君臨していた人だけあって、とても華やかでゴージャスで美しく、強い人だった。女王様のよう。
つまり・・・自分とは全く別の人物になりきることができるだけの演技力のある素晴らしい女優さんなのだろう・・・。これからの活躍が楽しみ!

●感想
私は同監督の映画「たそがれ清兵衛」(私の大好きな宮沢りえさんが出ている!)よりも、個人的にはこの映画が好きだ。

時代劇ではあるけれど、テーマは普遍的なもの。
「個人の心の中にある譲れない一点」の問題と、「愛」が描かれていた。

「愛」とは、やはり、「許すこと」かもしれない・・・。
と、この映画を見て考えた。
許すことは、なかなかに困難なこと。
特に、愛する妻が他の男と・・・となると、その苦しみを越えて彼女を許し、なお愛するのは、至難の業だろう。
その困難なことをやり遂げた「本当の意味で強い男」が描かれている。
剣の強さが、男の強さではない。
「許すこと」「愛すること」を貫けるのが本当の強さなのだ、と、この作品は言おうとしているのだと思った。
私は強くあれるだろうか。
私の愛する人は、強くあってくれるだろうか。
お互いに、何度でも許し合いながら、愛し合い続けていくことができるだろうか・・・。
夫婦になるということは、きっと二人でその困難なことに一生をかけて挑戦していく、ということなのだろう。

脇役がさすがに素晴らしい。小林稔侍に緒方拳、桃井かおり。特に、木村拓哉に仕える徳兵の笹野高史は抜群の存在感ととぼけた味で秀逸だった。
ただ、坂東三津五郎は悪役にするには品が良過ぎたかもしれない。憎めない悪役では、切る意味がない。もっと適役が他にいそうに感じるけれど・・・。
つがいの小鳥、風の音、枯れ葉の落ちる様、・・・さまざまに細かなところまで心配りの行き届いた丁寧な作品だと感じた。
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comment

 marさん、ご無沙汰してま~す。(^o-)
Wonderful Worldには寄らせて頂き、たくさん素晴らしいことを学ばせていただいてるんえすが、足跡を残せなくてごめんなさいね。
 ずっと観たかった「武士の一分」私も叶ったので、自分なりの感想を書いてみましたよ。頓珍漢かも。


 下級武士の三村は、藩主の毒見役。綺麗な加世と所帯をもっている息の合ったおしどり夫婦、忠実な使用人とともに藩内に禄を貰って住んでいる。
 ある時、藩主の食事に出された貝の毒見をする。毒に中って、三日間の昏睡後、意識を取り戻すも、失明に。
 上司にあたる武士・島田は、「盲目になった夫君のために、これまで通りの禄をくれるよう上の人間に口添えをしてやる」と加世を騙し、彼女をものにしてしまう卑怯者。
 事の真相(これまで通りの待遇を得ることができたのは、島田の口添えでなく、藩主の良心による)を確認した三村は、剣の師匠につき腕を磨き、その島田に決闘を申し出る。
 決闘では、目を不自由にしていながらも、上級武士で腕の立つ島田の片腕を切る。
 
 島田は決闘後、どんなに問い詰められても、相手・三村の名を明かすことなく、口を閉ざしたまま切腹。
 三村は腹を切ることを免れたばかりか、離縁した愛する加世と再び幸せに暮らすことができたという話でした。

 島田が相手の名を明かさなかった理由として・・・
 ①免許皆伝の達人としての自分が、一下級武士(しかも目が見えない)に打ちのめされたこと。
 ②表面的には「立派な」島田が、人の妻を手篭めにしたこと
 ③更に、取調べの段階で、三村を助ける口実としての自らの悪事の全容が暴かれること

 この三点を公に知れ渡るよりは、自ら腹を斬った方が武家社会のルールに適っている、との判断からだろう。

 この映画を観ての感想
  ・剣の師匠が、三村に向き合う姿(師弟愛)
  ・離縁せざるを得なかった加世の味を瞬時にして峻別しえた三村の舌(さすが毒見係という仕事で鍛えただけあります)の鋭さと、加世の優しさ(夫婦愛)
  ・小鳥の番を新たに飼い、自然から学ぼうとする姿勢(博愛)

 見終わった後、しみじみと良さがにじんでくる映画でした。
2007/01/17 18:25 | sayshoe [ 編集 ]

sayshoeさんへ

わ~~~!!sayshoeさんだ~~~~~♪
。+.。゚:;。+゚( 。・▽・。)゚+。::゚。:.゚。+。
こちらこそ、ごぶさたしています!!
コメント頂いて本当に、とってもとっても嬉しいです!!
新しいブログになって、それ以来、やっぱり転校生のような少し寂しい気持ちでいましたが、見て下さっていたんですね。そううかがっただけで、とっても嬉しくて幸せな気持ちです。
本当にありがとうございます!!

「武士の一分」、良かったですよね!
sayshoeさんが書いてくださった文章を拝見しながら、ああそうだった・・・と、さまざまに映画の場面を思い出しました。すごくわかりやすくすっきりとまとめていらっしゃいますね!!
特に、島田の切腹の理由①~③は、鋭いご意見に「なるほど~!」とうなりました。
それから、最後の、「離縁せざるを得なかった加世の味を瞬時にして峻別しえた三村の舌(さすが毒見係という仕事で鍛えただけあります)の鋭さ」という部分は、全くそこを結びつけて考えていなかったので、ハッとしました。
そうか~、毒味役で鍛えた味に対する鋭い感覚があったからこそ、加世の味をすぐに見ぬいたのですねぇ・・・。

本当に、おっしゃるとおり、時間とともにしみじみと良さがにじむ映画でしたね。
私はやはり、「サムライもの」という視点では全く見られなくて、一人の人間のどうしても譲れない一点のプライドと、夫婦愛がテーマだと思いました。

そうそう、緒方拳の剣の師の役も、良かったですよねぇ。
もう一度見たくなってきました。

さて、今年中に必ずまた光世さんに会いに北海道へ行こうと、心の中で固く決めています。
前回、美しい秋に訪れたので、できれば違う季節に・・・特にラベンダーのある季節は良いだろうなぁ・・・なんて思っていたのですが、さまざま考えるとやっぱり秋になっちゃいそうです。
でもね、やっぱり必ず行こうと、それだけは決めています!

ニュースで北海道の雪の様子などが映るたびに、いつも、心の中で「光世さんはどうしていらっしゃるだろう・・・。」と思います。

そして、私にとっては、コッコさん&ロンさん、そしてsayshoeさんにまめさん、つっちーさん・・・。でにろうさんにさらさらさん・・。
綾子さんが出会わせてくれた、たくさんの素敵な人たちとの出会いに、本当に感謝しています。
どうぞ、これからもよろしくお願いしますね!!
2007/01/22 23:53 | mar(マル) [ 編集 ]









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Author:mar(マル)
☆大切なこと
「真・善・美」な道を求めて日々成長すること。

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(ヘルマン・ヘッセの言葉) 

☆好きなこと
・空が好き。
・本(古典・純文学系)が好き。
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・色々考えることが好き。
・文章を書くことも好き。

☆好きな本
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・ドストエフスキー『白痴』『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』
・ロレンス『チャタレイ夫人の恋人』
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などなど。

☆好きな映画

『初恋の来た道』『ポンヌフの恋人』『ローマの休日』『アメリ』『父と暮らせば』『ノッティングヒルの恋人』『ライフイズビューティフル』『ベティーブルー』『存在の耐えられない軽さ』『嵐が丘』『LOVERS』『汚れた血』『イングリッシュペイシェント』『エトワール』『風と共に去りぬ』など

☆好きな音楽

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