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2006/12/27 (Wed) flor・花

クリスマスの夜、レストランを出たときに降り出した雨は、次の日も降り続いた。
26日夜中、窓を打つ激しい雨の音、そして、カーテン越しに青白く光る稲妻、そのあとに長く重く空を揺るがして続く雷鳴。
雷のゴゴゴゴゴ・・・という振動に、家がふるえるほどだった。

●井上恵美子ダンスカンパニー公演「flor・花」鑑賞記
hana.jpg

2006年12月26日(火)夜
新宿ゼロホール(曾根崎の2年目の公演を行った思い出の場所。)にて井上恵美子ダンスカンパニーの「flor・花」という公演を観た。
昨年度の文化庁芸術最優秀賞を受賞した実力のあるグループで、主催の井上恵美子さんは私と同じスタジオのジェントルマン・「コンコン」の奥様だ。ダンサーの中には、コンコンのお嬢さんで女優さんのうららさんもいらっしゃる。
(うららさんは、寺島しのぶさんが樋口一葉を演じた舞台「書く女」にも出演されていた。そのときの感想はこちら。
http://lunasolmilcoco.blog68.fc2.com/blog-entry-24.html

●こんな舞台でした・・・。

初め。重いグレーの服を着た女性(井上恵美子さん)がゆっくり揺れながら、長いシフォンの布地をたぐり寄せていく。
へその緒?時間?心?様々にイメージが広がる。

そして、舞台中央奥に丸く集まって座っている、眠るような女の子のかたまり。黄緑色のシャツに、白く薄い布が何層にも重なったクラシックのバレリーナのようなふんわりスカート。
まるで・・・春の木の芽吹きのような。
萌えいづる生命の若々しい柔らかさ、かわいらしさ。

争いや激しさを感じさせる中盤のシーン。
上半身の衣装は光沢のある明るい茶色に変わり、動きも激しく速くなっていく。
踊り手の体の柔らかさや、ジャンプ力、跳んだときにみんな空中で足が180度に開くのだ。
それだけ踊れる人が、こんなにたくさん集っているというのはすばらしいことだなぁと思う。

作品のクライマックス、井上恵美子さんのソロ。
スペイン人の歌い手の、切ない歌声にのせて踊る。
黒い服と黒い布。シンプルさの中に、際だつ表現の深さと強さがあった。
本当に心にしみこむように思いが届いてきて、グッと引き込まれた。
運命・・・生きることの苦しみ、悲しみ。絶望してしまいたくなるような現実。孤独。
泣きたいような、叫びたいような、怒りたいような・・・。
後半は持っていた布を顔にかぶせたまま踊られた。顔の表情が見えないそのときでさえ、・・・むしろそのときこそが、最も「想い」が客席に届いた瞬間だったように感じる。

そして感動のラストシーン。
ヴィヴァルディの「四季」の「冬」(もともと私はこの曲が大好きなのです。)の美しく流れる中、ひたすら雪が・・・大量の雪が舞台に降り積もる。
そこに照明が当たって、雪がキラキラ、キラキラとする。
青い服を着た女の子たちが客席に一番近い舞台前面に一列になって出てくる。
そして静かに後ろを向き、後ろ向きのまま雪の中を舞台奥へと進んでいく。
みんな、自分の前で静かに手を組んで、一人ずつのままで。
でも、その中の一人が(うららさん)、そっと隣の女の子の背中へと手を伸ばす。
ふっとした小さな仕草なのだけれど、ここが何とも胸にしみこむような感動を与える。
そのまま、うららさんのソロになる。
丸いおでこ、丸い目、つまんだような鼻。ほっそりして華奢なのに、しなやかで強い。
そして、何とも可憐で愛らしく、小さな花のように清楚で美しい。
表情も、腕や体の動きの一つ一つも、本当に輝いている。そして、伝わってくる。

・・・激しく降る雪はいつの間にか、ピンクの花びらへと変わる

花びらの絶え間なく降る中で、女の子たちが笑いながらクリーム色のスカーフを振り、舞い踊る。
生きていることが、楽しくて仕方ないのだ、踊ることは、喜びなのだ、ここでこうしてみんなと笑いながらはね回っていることが嬉しくて嬉しくて仕方ないのだ・・・と。
涙ぐみたいような歓喜の中で花びらは絶え間なく降りしきる。

●終わりに

今こうして思い出しても胸にふわぁっと感動がよみがえってくる。
正直言って、これほど感動することは予想していなかった。
(私は、・・・モダンバレエは今まで苦手意識が強かったのです。)
謙虚なコンコンは「まぁ、たいしたこと無いけど、良かったら見に来てよ!」なんて、謙遜なさって誘ってくださった。でも、とんでもない。すばらしい作品だった。
本当に・・・すばらしい舞台で、たった1時間ほどの長さなのだけれど、最後は感動のあまり胸の中にわき上がってくる涙をこらえながら観ていた。

ダンサーの身体能力の高さ。表現力の豊かさ。あれほど踊れたらどんなに気持ちがいいだろう。みんな若々しく伸びやかで、命がキラキラと躍動していた。そして衣装も、踊りを活かす素敵なものだった。
(ただ、メイクはもっとナチュラルな方が作品が生きたような気がしたけれど・・・なにしろかなり至近距離で観ることができるので。・・・って「曽根崎」を思えば人のことはいえない。汗)
花びらの中に包まれたような・・・子宮の中にいるような・・・柔らかい曲線の重層的に重なり合った奥行きのある淡いピンクの舞台装置。踊りを活かすドラマチックで凝った照明もすばらしかった。
音楽も素敵だった。

特に、たくさんのピンクの花びらの舞い散る中で、女の子たちが楽しそうに舞い踊るラストシーンはいつか確かに見たことのある夢のワンシーンのようで、私の心に眠っていたものを思い出させた。
舞台を見終えていろいろなことが胸によみがえってきた。
踊るのがただ単純に楽しかっただけだったときのこと。
子供の頃の楽しかった日々の思い出。
見るものの胸に届く、いい舞台を見せていただいたと心から感謝している。

やはり、特に心に残っているのは、井上恵美子さんのソロと、うららさんの存在だ。
うららさんは表現力も踊りもピカイチで、愛らしさも際だっていて、本当にキラキラとしていた。
そして、ダンサー全体のレベルの高さに本当に驚いた。日々たゆまぬ努力が合ってこそ、あのようにのびやかに自由に踊れるのだと、その背後にとてつもない努力の積み重ねの日々があることを思った。

私たちは、もっともっと精進しなくてはならないなぁと反省した。
本当に、だめ。体の硬さ、動きの硬さ。
心を表現するためには、その媒介としての体が徹底的にできていなくてはならないのだと、しみじみつくづく考えた。
もっとよく踊るためには、あれもしなくちゃ、これもしなくちゃ・・・。
・・・というように、踊ることに対して前向きになっている自分に気づいた。

いい時間をありがとう!また次も、ぜひ拝見したいと思った。

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comment

冬は私も大好きです。

過去にコレで踊ったこともあります。(バレエを習っていたころですが・・・)

モダンバレエは身体や顔の表情など全てを使って表現するあたりクラシックとは全然趣が異なりますよね。

フラメンコと共通するところ大ですね。。。


2006/12/27 20:25 | ハンナ [ 編集 ]

ハンナさんへ

そうそう。本当に静かで美しくて素敵な曲ですよね。
昔、ずっと昔、「みんなのうた」でこの曲に日本語の歌詞をつけて歌っているのを聞いたことがあります。
そのせいか、なぜかキュンとするような、懐かしい気がするんです。

私の今の携帯の着メロは、この曲のオルゴールバージョンです。目覚ましにもしていて、うっとり気分で起きています。

モダンは今まで、良い舞台に出会う機会が無くて、あまりに個人的な内面をこれ見よがしに見せつけられるような不快感があったのですが、これでイメージが変わりました。良いものはいろいろと敬遠せずに見てみたいと思います♪そして、それを自分のプラスにしていけたらいいなぁ・・・☆
2006/12/27 21:29 | mar(マル) [ 編集 ]









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Author:mar(マル)
☆大切なこと
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(ヘルマン・ヘッセの言葉) 

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・空が好き。
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☆好きな本
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・リルケ『若き詩人への手紙』
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・三浦綾子『道ありき』『氷点』『泥流地帯』『塩狩峠』
・倉田百三『出家とその弟子』
・ドストエフスキー『白痴』『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』
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などなど。

☆好きな映画

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